羊たち

できれば笑っていたいと 思うようになったんだよ、最近 神さまがぼくたちに興味がないことも ぼくたちが神さまに興味がないことも 同じことだって思いはじめてるんだ 楽しいわけじゃないけれど きみが泣くのはつらいから 笑うぼくを見て きみが少しでもつら…

 FUCKIN' GOD

とどかない。 これは ゼツボウじゃなくてキボウなんだ 思うことですこしマシになるなら 人間もそうわるくはない 神さま こんなことでひとはすこしマシになれるの こんなことでこころから あなたにありがとうと言えるの あたしを こんなに ばかにつくってくれ…

 ENDLESS END

雨が降っても嵐でも 晴れても曇っても気に入らない 結局お前はそうなんだ あなたが言う ……違うよ。 むかしはね 120色の色鉛筆がほしかった 淡いびみょうな色をぬりわけて みせたってあなたは12色で 青じゃないかと言うだけなんて 知らなかったから 結局あな…

 ONE WAY

笑って泣いてまた笑って からだごと まわりごと 年老いてく すりへったくつのカカトに足を取られて バランスをくずしながらまた一歩 なんて遠くまで来ただろう おさないころ 夢みたのとはちがう景色 てくびで こめかみで 鳴りつづけるカウントダウン ふりき…

 ノーウェア

すごくやさしいゆめを見たんだ そこにはぼくがいなかった なにもかもが朝焼けみたいにとおく うつくしかった やさしいことはむずかしくない いなくなってしまえばいいんだ はればれと思ったのにぼくは 目覚めたとき泣いていたよ あたまがひどく痛んで ちっと…

だいじょうぶ? 訊かれてうなずいた だいじょうぶなんかじゃなかったけど 首をふって そのあと続くやりとりの気配は全部 つんで捨てることにしてた あなたを思ったんでも ぼくを思ったんでもない 首をまわすよりめんどうだった だいじょうぶじゃないと ぼく…

 花の道

花が咲かない道は 頭に花を 咲かせて歩く 赤い花 花びらをちらちら 散らせて歩く 後ろを歩く誰か たったひとりでも誰か 散った花びらを踏んで 心に花を咲かす 赤い花 そうして道に 花は満ちる 最初の花は枯れても 遠くで 白い花が満ちる

 懺悔とそれから

あなたにわたしがはずかしくないなら わたしもわたしがはずかしくない あなたにあなたがはずかしくないなら わたしもわたしがなさけなくない ごめんねとくり返す あなたはわたしを通して 神さまにあやまってる 神さまがあなたをゆるさなくても わたしはあな…

 ロストネーム

あの子の名前が聞こえたの かってに小さく返事して あたしを呼んだことにした

 かなた

せかいはとうめいにそまってる きみのいけんによるとね ぼくはこまぎれのくもをくいちらしてる きみの しかいを ふさぐものを ひとつでもふやしたいんだ ぼくのせかいはくらくておもい じっとりにごって にびいろにただよってる うすくあおくつめをそめた き…

夏の音なんかみんな死んじゃえ 悲しんで泣くきみの声も夏の音なら きみだって死んじゃえ 悲しんで泣くあたしの声は冬の音よ 雪よりもつめたく とけるの。

 ミスユー

きみにあいたい ぼくの右手はきみにつながってる 左手はきみ以外とつながってる きみにあいたい 思いながらいつも きみがここにいないことを考える きみがいないことを感じてる はなれても生きられる 当たり前だよ きみにあいたい きみがひじてつをかまして …

 サークル

わたしの人生にあなたは浸食する。 あなたの人生をわたしは侵害する。 どっちもどっちだね、と笑うのはこいびと。 円の外に立って円の外の話をしてる。 聞こえない。 わたしの幸福はあなたの不幸で、 あなたの不幸はわたしの幸福。 円の中は不運でみちてる。…

優しくされたいだけならば そっちへ行ってはいけないよ こころを喰われてしまったら きみにはなんにも残らない

かみさまはうつくしいことにあきて ぼくたちはつかれることにあきた WORLDEND TRAVELER ここが世界の果てなら ここからどこへでもゆける

 dear granma

むいてくれなくても食べられるよ オレンジだもの だけどあなたがむいてくれれば わたしはそれを食べる ありがとうも言わない 日常なんだと思ってた 優しさなんだと思ってた 悲しいなんて変だった あなたがむいてくれたオレンジを わたしはもう食べられない …

 as a dog

ごめんなさい神さま あなたがなにを言っているのか わたしにはちっともわかりません かなしいんですか? わかりませんごめんなさい ああ、犬のようです 吠えるばかりで

わたしにこうさんする あなたにわたしはこうさんする わたしにあなたはこうさんする どうどうめぐり いつかあきたら さよなら

 こわいよ

わたしがこわいよって言って きみがこわいよって言えば こわいことはこわいまま こわくなくなる気がするの 気のせいかなあ? だけどどうしてもそんな気がするから 言ってみる こわいよ。

 食用ではありません

こわれたスケールできもちをはかる いいのよどうせ計算なんてできないし あなたにきっちり200グラムって 考えるだけでじゅうぶんたのしい 多すぎたらすくってなめるし 少なかったらすこし かなしい顔をするわ だいじょうぶレシピなんてないから あなたが昨日…

 紙魚

見えるものすべてに唾を吐いて生きていくなら きっと昨日よりきれいな夕焼け シミみたいな、君がいない

 どうかその手を 

ひどいなあ それでやさしいつもり ずるいなあ こんなのよけいさむい およぐゆびさき すきまがぷらぷら くろいかわのおおきなてぶくろ てわたしてわらった むきだしのてのひらで ざらざらのあごにさわった ああ、てがつめたいわ およいだゆびさき ひらいたて…

生まれ変わったら 固く錆びた街灯になって 白い息でこの道を照らそう 凍るように 今は きみのもとへ歩く

 時計

かみさまだって止められない きっとこわすしかできない そんなのぼくらと同じじゃないか 時計の針を止めて 意味がなくても止めて 叩いて踏みつけてめちゃくちゃにして そうしてぼくらは 止まらない時を知るんだ

 good morning tea

マグカップにみちた朝焼け のみくだすんだ ほら、1日がはじまる おはよう。 投げやりに言うひとはいないから あかい空はパステルにならない 透明な空が手の中でゆれる おはよう。 ほら、あたらしい朝だよ

 毎日

おぼえてる? 今日がいつか 忘れてしまった? それなら むりに思い出さなくていいよ だれかがうまれて だれかが死んだ日 きっと毎日

きみがあの子にゆれることに うれしいと思うのはちがう だけどこっそり喜んでしまった 見えないように笑ってしまった あたしだけじゃない 荒れた肌に ぬける髪に はげた爪に ざまあみろ、と思ってしまった とても味方じゃない だけど 痛む胃をかかえてしゃべ…

 鎖

たち切れない わかってるから引きずっていく 重いクサリに足をとられて ふみだす一歩がどんなに遠くても 引きずっていく 切り離せ憎しみの連鎖 さけぶあなたが神さまなら 放っておいて ながいものにまかれて 生きるって決めたのよ あなたがわたしの救いとい…

 道案内

この道はいつか来た道 だからって迷わずすすめるとは限らない あのときも今も 手を引いてくれるひとはいないんだもの 迷っても行く 決意だけが道案内 どうしよう 役に立たない

 ひみつ

ほんとうはこんなのただのヤキモチ いいひとぶって吐いちゃいるけど ほんとうはきみにやさしくされたいだけだよ あの子みたいに あの子よりも だからひみつにしておこう? ほんとうのことはぜんぶ ぜんぶをぜんぶ見抜かれないかぎりは 引力に化けてきみを呼…