1998-08-01から1ヶ月間の記事一覧

 インターミッション

毎日がつまらないのは 自分がつまらない人間であるせいで ほかの誰かのせいではありません 身の回りの全ての喧噪を 遠く感じるのは自分のせいです 世の中からはぐれているのは 世界ではなく私です それら全ての現実を 他人のせいにしたいのは 私が馬鹿な人間…

 月のサカナ

あきれるくらい昔になくしてしまった そう思いこんでいたものが 本当は手を伸ばせば届くところにあるのだと教えてもらった 雨のあがった夕方 せわしい蝉の声 次第にかげになってゆく木立 後ろ髪を引かれながら家路をたどる子供たち うすい水色に藍をとかした…

 絶望の住む闇

世界のどこか くつおとより少し低いところに 時折小さなくぼみがあって そこに秘密がおちている ガムみたいにカカトにへばりつく その秘密をふりはらいたくて 君は足をふりあげる それこそやつの思うつぼさ 世界のどこか くつおとより少し低いところに 時折…

 バカンス

六人がけのテーブルの席がふたつだけ空いてる そのひとつを埋めるはずだった人のことを思う その人のしぐさを 横顔を 背中を 声を 私ははっきり思い出すことができるのに その人が空いた席に座ることはないのだ さみしいわけじゃない さみしいわけじゃない …

 夏の音

窓の外から夏の音がする どうしてだろう 寝転がって耳をすます それだけで夏の音ってわかる 体温より少し低い温度に触発された 世界の心音があがってる