ノーウェア

すごくやさしいゆめを見たんだ
そこにはぼくがいなかった
なにもかもが朝焼けみたいにとおく
うつくしかった



やさしいことはむずかしくない
いなくなってしまえばいいんだ
はればれと思ったのにぼくは
目覚めたとき泣いていたよ
あたまがひどく痛んで
ちっともやさしくなかった



この日常をどうする?



きみの手のひらについた肉を
熱心にさわりながらぼくは
近さと親しさを混同するだけ
息をひそめて
とおまわりに近づいていく
どこにもない



やさしくないなあとぼやいて
はなれたきみの指先がやさしい