2000-01-01から1年間の記事一覧

 ヒカリ

泣かないでヒカリ 君の潔癖を、完全を求める心を 何千年も昔からずっと愛していたよ 今ふりあげたその剣で 君の心がほんの一瞬でも救われるのなら ぼくは何もこわくない 君の好きなようにすればいいんだ たったひとり取り残された君の気が狂う前に ぼくから…

 神様

誰かどうか過去を光に変えるすべを教えて 暗闇にのみ込まれた左腕がひどく痛むこんな夜 あなたの名を呼ぶのにもあきたよ 神さま

 枯れない花

明けない夜に住む 君は枯れない花 涙をはじく 銀色の棘を光らせて 千年前に死んだ 夜明けが来るのを待ってる

 灰青

ぼくは詩人じゃない 旅人だよ だから歌は歌わない 身体にためた歌が いつかこの背をつきやぶる日まで 旅を続けるんだ

 イエス

笑うために生きてるんじゃない 泣くために生きてるんじゃない うまれたから生きてる うまれたから生きてるだけ 果てのない惰性によるイエスという選択をくり返して 今日ぼくは君と出会う

 わらうどうぶつ

こころをうばう ちんもくにみをゆだねて えいえんをうたうリズムに さからうこどうを さんばんめのほねにかくした わたしはわらうどうぶつ

 ホライズン

ゆめのよあけにすむとりのはねにふれたゆびさきがあかるくこおるおとをきいた

 魚

手放した魚は きらり背中を光らせて 暗い海へと戻ってゆく 見送るあなたの手に残る感触は過去 まぼろしに近い甘さで いつまでもあなたの手を冷やすけれど あなたは知ってる あの魚を追ってはいけない 暗い海 つめたい水 レモンイエローの背中がきらりと光る …

 プレッシャーの正体

だれかが君にやせろって言った? だれかが君に「君はおかしい」って言った? 君の背中をおしてるものの正体はなんだ? だれの言葉も信じない 君はひとりぼっち 人の視線ばかり気にしてるつもりで だれの目も見ていないから 本当はだれも君を見ていないことを…

 セーター

最後にひとつお願いがあるの ターコイズグリーンのセーター買ってよ そうしたら 宝石色の水にとけて りんかくをなくして あなたの視界から永遠に消えてあげる だからお願い 胸元にスパンコールがきらきら ターコイズグリーンのセーター買ってよ

 M.M

口に出したらなにか変わったかな? ずっとあなたに言いたいことがあった。 愛とか執着とか呼び名なんてどうでもいいの。 わたしの世界ははじめからあなたでいっぱいになってる。 確かなのはそのことだけだもの。 やさしい言葉にひれふして、 つめたい視線に…

 テレフォンナンバー

あいつにつながる11桁の数字 眠らない夜にくり返す呪文 日常にとけこんで見えなくなる日よ 来い

 目で殺す

一瞬でいい わたしを見てよ 偶然でいい こっちを向いて 瞬間目で殺す。 準備はずっと できてる

 鳩時計

解放してって鳴いてる 時計の中に閉じ込められた鳩 息苦しいって鳴いてる 時間の中に押し込められた鳩 決められた時刻 決められた回数 喉をふるわせて叫んでる あなたのために 鳴いてるわけじゃないって 泣いてる

 clumsy

カンが悪いね。 バズーカはそう言って、 こめかみを何度か人差し指でこすった。 説明するのは難しいな。 あいつの身体の半分はうそでできてるんだ。 腕も肩も目もカカトも言葉も心も全部 半分はうそでできてるんだ。 あいつを信じるのはあんたの自由だけど、…

 B型

B型の愚痴はどう? 「クセのない人間なんているかよ」

 A型

A型の主張を聞く? 「人生には地図が必要」

 O型

O型の理屈を聞きたい? 「きっと明日はうまくいく」

 コントロール

コントロールの仕方を教えて なみだも痛みもあの子の未来も この右手ひとつであやつりたいんだ

 なつやすみ

なつやすみは終わらない だって君はまだ本当の なつやすみを知らない

 強さと弱さ

こわしたくない。 ころしたくない。 ぼくは臆病な人間です。 なぐりたくない。 おかしたくない。 ぼくはつまらない人間です。 情けないやつだとつばを吐いて怒鳴る あなたはきっと 命をはることが勇気だと信じているんでしょう。 他人を虐げずに生きていくこ…

 ナイフ

切るべきものを切る 勇気はいらない ナイフをちょうだい

 世界の閉じる音

笑っていてほしいと思ってたのは本当なんだ それなのに全身の血液が沸騰した ひとつになった影をそのまま アスファルトに打ちつけてやりたいと思った 世界の閉じる音が聞こえた ぼくが永遠に あなたの望む者になれないって知っていたなら 最初からそう教えて…

 あたしはかいねこ

あたしはかいねこ すてきなシルバーグレーの毛皮 あたしはかいねこ ひとみはみわくのゴールド あたしはかいねこ うまれたときから首輪をつけてる きみはこの家の外では生きてゆけないよ あなたが言う あたしはうっとりと目をとじる あたしはかいねこ あなた…

 まぼろし

手をぬらさないで 余計なものまでくっついてしまう かわいた手のひらに吸いつくようにおちる まぼろしだけを信じて

 ピアス

耳たぶにブスリと安全ピンを突き刺した夜中 くさって落ちる身体に対抗する夏

 "FLY ME TO THE MOON"

十七歳の女の子が歌う "FLY ME TO THE MOON" 車の中 月まで行きたいなんて言わないから 今夜あなたの住む部屋に行きたい

 one thing

この世界に ぼくのできることがたったひとつあるなら それは君を抱きしめること 君が好き 君が好きです この言葉を 君を抱きしめることのできる幸運を 他の何にも 変えようなんて思わない

 やさしいことば2

やさしいことばをひろったんだ。 昨日、オレンジの空を桃色の雲が流れてゆく夕方 道端でひとりぼっちのピアニストが落とした やさしいことばをひろったんだ。 それがあんまりすてきにちかちか光っていたものだから 月色のアイスクリームスプーンの柄につけて…

 rain, rain, rain

泣いてるのは悲しいからじゃないよ 笑わないのは怒ってるからじゃないよ 街は内臓みたいにきたなくて 毎日はめざまし時計みたいにはやまわしで 体温をくれる君のこころは北極グマみたいに正体不明だけど 遠い遠いそれらのことに きずついてるわけじゃないよ …