ひとは案外そうであったことを簡単に忘れてしまうものだ 都合よく踏み散らかして拾い読んで平気な顔だ いま馬鹿にして切り捨てた 彼を笑うことはあなたの過去を笑うこと 気づかず気にも留めず気に病まず盛大に笑い飛ばしてまた忘れる ああ、なんてタフネス …

えいえんの one way 忘れたふりでたどる みちくさ

しばられているよ きみがぼくをこんなふうにしたんだよ 本気さ 心中したっていい ぼくをきみがどうにもできないなら 笑ってしまうね？きみの手をはなれた ほら、これがぼく自身だ

「お元気ですか？」 遠いひとが遠いまま くれることば 「お元気ですか？」 親しみよりは 誠実に似てる 「お元気ですか？」 いわれるといつも 少しだけ元気になる 強がりでも 笑って答える 「元気だよ」 どうせ決まり文句なら やさしいのがいい

あなたがいっしょうけんめい ぼくの中にそれをさがしてくれる限り ぼくはかわいそうでいつづける あわれみをありがとう やさしいひと だけどぼくはもう行くよ 雨がふっても槍がふっても ひとりきりでもかまわない だれもぼくをかわいそうな子だと呼ばない場…

あなたのえがく幸福な未来の登場人物にあなたはなれない まっかになった脚本を何度も何度も書き直す そんなのやぶって捨てちゃえよ 言いたいわたしはえがくべき幸福な未来も知らない

死んだものの臭いがするね 強い春の風に顔をしかめて彼が言った あいつ、今年は随分早くに行ってしまったんだな ぽつりと呟いて、忌々しげに舌打ちをした ああ、髪がめちゃめちゃだ 向かい風に逆らうように肘を突き出して ばたばたとなびく髪の毛を押さえる …