1992-01-01から1年間の記事一覧

 残暑お見舞い申し上げます

どこからか 花火をあげる音がする 子どもたちの歓声にまぎれ 聞こえてくるのは 夜風にゆれる風鈴の ちりちりというかすかな響き 黒飴をなめながら ぼんやりと 机の上のハガキに向かう 残暑という言葉を しみじみとかみしめたくなる こんな夜 あなたはいかが…

 日めくり

日めくりがほしかった 飛ぶようにはやく過ぎる時間の感触を この手でしっかり確かめたくて つかみどころなく存在する 時間という大きなうず 流れ込んで あてもなくさまよっているのは わたし つかみそこなったものの あまりの大きさに つかむどころかのみ込…

 夢物語

心をさらけだして 生きてなんかいけない それなりの気持ちを 見栄えよく飾り付けて ぽとんと人前に落とせば ほらごらん うまくいくでしょう わざとらしいって笑う人は笑えばいい 引っかかる人はいくらでもいる 指の間をすり抜けて落ちる砂の感触が 心に痛い…