2005-01-01から1年間の記事一覧

 どうせ春には

君がかなしいのは 泣けて仕方ないのは 冬のせいだよ 空気がまっしろにつめたく乾いているせいだ きらきらとまたたく電飾が君の瞳を刺すからだ 君がくるしいのは 痛くてたまらないのは 僕のせいだよ 長いコートの裾を乱暴に蹴り飛ばして かじかむ指先をなじっ…

 ちぢこまる

わたしがわたしであることを 誰にも知られたくなくて ちぢこまってる 笑われたくなくて ばかにされたくなくて あきれられたくなくて わたしを嫌う世界に 毒づく勇気もなくて あめ玉みたいな言葉だけ 口の中で転がしてる 舌を切っても泣く わたしがわたしであ…

 言わない

心残りならあるよ わたしがそれを言わないこと 決してあなたに言わなかったこと 思い返して何度も泣いたし 何度も泣くよ だけど 強がりじゃなく 誤解を恐れず言うならば わたしはそれを言わないんだ 言えないんじゃない 今までも この先も つよいわたしの心…

 ≠

水色の空を ぱっきりと分ける飛行機雲 わたしたちの溝も あれくらい うつくしいものなら良かったね 再び見上げた時には けむるように消えている そうしてまた 塗りこまれた水色の空

 悦に入る

あなたがわたしに1ミリもさびしくないといい 祈りのように思ってた 最近になってようやく気づいた あなたが誰にさびしくても 雨や野良猫やハブラシやipodminiにさびしくても それは全部いつかあなたが選んで手にしたもの 愛しいもさびしいも あなたが受け入…

 扉

死んだって言わない、そんなこと。 だから、ほしいなら探しなよ。 さっさと、この扉をぶち破って? あたしの中に、その言葉を。

 CHILD

あたしが捨てて君が拾った その子のことが心配なんです 君が捨てたらあたしが拾う ぱんぱんほこりをはたいて ベルトにつないでぶらさげて歩く あたしが捨てて君が拾う 君が捨てたらあたしが拾う そうしていつか くたびれてすりきれてぼろぼろになった その子…

 君に懺悔を

投げ捨てた覚悟は ちらりと笑うようなひかりを放って すぐに靴底にのまれた 汚れてしまえ 思っていたのは自分なのに そのことにひどく傷ついた ねえ、どうして? すべての汚濁はうつくしくない それは救いではなかったの 君を殺したい気持ちなんて あたし全…

 根腐れ

言葉はもう枯れてしまった あとはもうくさってゆくだけ いくら水をあげてもダメなんだ 鼻をつまんで行ってしまえよ 汚濁はあたたかい ぼくはとてもひとりだ 静かに眠りたいだけなんだ

 新しい場所

泣き言も愚痴も禁止しない 吐き出してぶつけて その衝撃でちょっと動けば そこはもう新しい場所

 あなたになりたい

何かにならねば生きられない それがこの国のことわりならば わたしはきっとあなたになりたい 改革なんて喰えない要らない ほしいのは取るに足らないものばかり 何もしない何もできない わたしでいることがダメならば いけないことであるならば わたしはきっ…

 夏の恋

わかってる これは終わりのある蜜月 だからぼくははしゃぐ いつの日か 君の耳たぶのかたちを 忘れてしまってもいい ほんの一瞬の永遠に うたれてとけておちる

 さよなら

元気だよ 笑って言った 強がりでも笑って言った そのことにひどく安心したのは あなたよりずっとわたしだった さよなら。

 ノーリプライ

耳横をびゅうと通りすぎた風に ぎゅうとジャケットの前をあわせて そうなんだ、とつぶやいた 午後十時 線路沿いの道を早足で歩いてく 誰もいない ほんの少し歩調をゆるめ 相づちを返すように言ってみた ああ、そうなんだ つぶやきはびゅうと風に運ばれて 知…

伸ばされた手を不思議に思わなかった 目を閉じたのなんか、それが理由だ

 女神

ブーツで蹴られるより サンダルで踏まれる方が 本望って気がするなだってきみは この生臭く湿った世界を 吹き飛ばすために生まれた 女神

 パーフェクトストレンジャー

完ぺきなあなたの世界を埋める 完ぺきな部品になんてならないわ 完ぺきなあなたの世界を壊す 完ぺきですてきな不具合になる

望む未来がないなんてとんだ思い上がり。

とおいことをかなしみたくない それがあきらめではないことを いつの日か あなたも わたしも わかるといい

行かなくちゃ。

行かなくちゃ くり返してるうち 問いかけをなくす ねえ、どこに? ゆきさきは足がこたえる ここよりも暗くしめった つめたい水のあるところ かえるの声をまねて鳴く ちゅうとはんぱが住むところ もっとふかくに 行かなくちゃ

 スペル

駆け引き、打算、大事にしなよ 感情はいつでも走りがちだから きたなくてずるいきみのこころの秘訣 フライングばかりの浮ついた足を冷やすスペル お気に入りのTシャツのタグの裏辺りに いつだってちょっと縫いつけておくべきなんだ

きらきらとふりそそぐ陽光がかみの根からあなたをだめにする五月

長くのびた とけて消えない 紙一重の夕暮れ

世界の話なんかどうだっていい あたしは君の話が聞きたい

 虹

手の中で まぼろしの魚がはねた 水音は 虹に似ていた

死んでしまえばいいのにな 君がいなくなれば ぼくは この壊れた世界とさよならできるのに 君がおちるのを この目で見なきゃいけない ぼくはもう少し この世界につき合わなきゃいけない うんざりだよ

 そらみみ

遠くのことをかんがえて 今を迷子になるよりは 今のことをかんがえて 今を迷子になってたい そらみみのように はしゃいでは泣く 子どもの声を むねのなかに聴く

 スケアクロウ

むねがきいきい鳴る夜は ブリキのかかしの夢をみる きれいになじむあぶらを一滴 させたらきっとこの違和感は消えて しずかな部屋で息をせず眠れる こころよりもずっと魔法 ハーブティーにホットミルク ブランデーをこぼしたショコラ ジンジャーハニーミルク…

 ララルー

きみのうたう ラ、ラ、ルー、が とどかない耳の奧に 花がひらく 吐き気のする あまい香りでふるえる ラ、ラ、ルー、 枯れない ぼくは きみのリズムで ちっそくする (ラ、ラ、ルー…)

 タトゥー

今スカートをつかんでふるえてる 指先は味方じゃないけどわたしのもの よごれた汗伝う太もものうら ゆがんでゆれる蝶とべない うすくひきつれたくちびるとその中身で 教えてくれなくていい教えないで わたしはわたしのもの よごれた息伝う太もものうら ゆが…