どうせ春には

君がかなしいのは
泣けて仕方ないのは
冬のせいだよ



空気がまっしろにつめたく乾いているせいだ
きらきらとまたたく電飾が君の瞳を刺すからだ



君がくるしいのは
痛くてたまらないのは
僕のせいだよ



長いコートの裾を乱暴に蹴り飛ばして
かじかむ指先をなじって呪って早足で歩く
好きなだけ罵倒しなよ
じき明るい季節だ



君を幾重にも抱きしめる僕の羽に
君はこごえるばかり



僕がかなしいのは
泣けて仕方ないのは
君のせいだよ



いいんだ
どうせ春には
とけて消える