空

待つことしかできなくなった こころの暗がりに住むもの それを喰うもの

梅雨の隙間をぬうように洗濯してる そんなことでエネルギーを消費してるって思い込んでる

ひとのシアワセが妬ましくなくなったら人間おわりよ 見てごらんエコノミックアニマルが人間のふりをしてるよ

春の花を多くの名で呼ぶ きみはあたしよりうんと物知りで さっきからカメラのモニタばかり見てる

ビッグエッグがビッグバードの卵じゃないなんてがっかり!

 阿吽

かわいそうなのはひとりぼっちのシーサー だめだよ北の海はつめたい あたしが「うん」って言ってあげる

 カラフル

いつかあたしがこわれたら 呼ばなきゃダメよ 「ヘイ、カラフル!」 きらめいてとびはねて色を変える

虫歯にはガムをつめてね 公共料金の支払いはカードでお願い パラライカ

やわらかい骨をにぎりつぶして泣くんだなあ ちがうよ心は痛まない ことばがうまれるのは別の場所だよ

わたしがあなたに伝えたいことなんてないことを あなたがはやく気づいて立ち去ってくれないかと思ってる それもまた伝えたいことであることに相違はない

 いのち 

てをはなしたらおわるいのちというもの つなぎとめるまたいのちというもの

 新しい場所

泣き言も愚痴も禁止しない 吐き出してぶつけて その衝撃でちょっと動けば そこはもう新しい場所

伸ばされた手を不思議に思わなかった 目を閉じたのなんか、それが理由だ

望む未来がないなんてとんだ思い上がり。

 スペル

駆け引き、打算、大事にしなよ 感情はいつでも走りがちだから きたなくてずるいきみのこころの秘訣 フライングばかりの浮ついた足を冷やすスペル お気に入りのTシャツのタグの裏辺りに いつだってちょっと縫いつけておくべきなんだ

きらきらとふりそそぐ陽光がかみの根からあなたをだめにする五月

世界の話なんかどうだっていい あたしは君の話が聞きたい

死んでしまえばいいのにな 君がいなくなれば ぼくは この壊れた世界とさよならできるのに 君がおちるのを この目で見なきゃいけない ぼくはもう少し この世界につき合わなきゃいけない うんざりだよ

わたしはきみに ひとりでも大丈夫なひとになってほしい きみと一緒にいたくないんじゃない いたいよ でもわたしはいつかいなくなってしまうから そのとききみのさびしさをうめるものを なるべくたくさん持っていてほしいんだ

やさしくされると死にたくなる なにも返せないわたしを あなたがひとことも責めないから わたしはわたしの大丈夫を忘れてゆく あなたの大丈夫はとてもやさしい いらなくはない だけどわたしはわたしの大丈夫がほしかった それを忘れてゆくばかりなら 死んで…

わたしにそれができなくてもいい それはきみができるから わたしはそれをしなくていい 世界にはきみがちゃんといるから 絶望のフリで 希望だって知ってる

それを知ってるだけでえらそうで それを知ってるだけでほんとにえらいの? だったらわたしあなたと ちがう国に行くわ

ガムを食べ続ける深夜 舌先が音を上げたの だめ ゆるさない

泣き言も愚痴も禁止しない だけど泣くことは禁止したい なぐさめられるのも だまられるのも 苦痛なの やめて 迫ってくれるひとの前でだけ泣きたい 全部なしくずしにしてさっぱりして からりと笑ってほしい だって それくらいの涙なんだ こんなの

ことばを吐くつもりで こころを吐いてた ああ、こんなもの どっちも役に立たない のに

ごめんて言い過ぎたら痛い ありがとうは言い過ぎたらぬるい

生きてるような 死んでるような 生きてる日々

ごめんね きみをすきだと いいすぎたよ ぼくのために

かなしくなるな くりかえしたって 泣いてしまえば どうせ笑うしかないよ かなしくても

つよがりでも言えたらいいな きっといつか言えたらいいな そんなことばを探してるんだ