2005-07-04 ノーリプライ 詩 耳横をびゅうと通りすぎた風に ぎゅうとジャケットの前をあわせて そうなんだ、とつぶやいた 午後十時 線路沿いの道を早足で歩いてく 誰もいない ほんの少し歩調をゆるめ 相づちを返すように言ってみた ああ、そうなんだ つぶやきはびゅうと風に運ばれて 知らないだれかの耳元に落ちる そのひとがぽつり吐き捨てた言葉に 無意味な肯定を返す ノーリプライ ノーリプライ 嘆くとがった肩先を 無駄に冷やしてわたしに帰る