2000-10-31 魚 詩 手放した魚は きらり背中を光らせて 暗い海へと戻ってゆく 見送るあなたの手に残る感触は過去 まぼろしに近い甘さで いつまでもあなたの手を冷やすけれど あなたは知ってる あの魚を追ってはいけない 暗い海 つめたい水 レモンイエローの背中がきらりと光る そこにあるのは絶望と孤独 踏み込んではいけないことを あなたはよく知ってるから 透明な水が素足をすくっては離れていく 岸辺にただ立ちつくしている 後悔も希望もそこにはない あなたはただ立ちつくしている 立ちつくしている