タトゥー

今スカートをつかんでふるえてる 指先は味方じゃないけどわたしのもの よごれた汗伝う太もものうら ゆがんでゆれる蝶とべない うすくひきつれたくちびるとその中身で 教えてくれなくていい教えないで わたしはわたしのもの よごれた息伝う太もものうら ゆが…

 プリーズ

やさしいひとの名前はやさしいなあ まふゆの朝のコーンポタージュスープみたい じんわりまるくのどの奧へおちる きみの中であたしの名前は ちいさな貝がはきだした砂つぶみたいになってしまった? できそこないのクラムチャウダー ほわりとゆげをたててさそ…

 LP

うつむいて砂粒をさらってた もうずいぶん長いこと ぱらぱらと降りそそぐ砂粒におわりはなくて 首をそらして それがどこから降ってきているのか たしかめることもなかった 街もひとも道路も さびた灰色におおわれてゆく ことばは喉の奥に沈んで ゴーグルの向…

 あいさつ

ありがとうごめんねばいばい はやくちで言ったらちがってた ほんとうはたったひとこと 上手なあいさつがしたかった

 フラワーフラワー

良かったね、と言ったよ それはほんとう 心から それ以外の気持ちは やんでしまっていた おだやかに笑った 道ばたに咲く青い花を 立ち止まらずに目の端でめでる そんな祈り 良かったね おめでとう 素直に笑った さよならを どこですませたんだろう 気づかな…

残念

あたしがあたしであることを きみがよろこんでくれるのは あいであってゆるしじゃない 残念だな

わたしはきみに ひとりでも大丈夫なひとになってほしい きみと一緒にいたくないんじゃない いたいよ でもわたしはいつかいなくなってしまうから そのとききみのさびしさをうめるものを なるべくたくさん持っていてほしいんだ

 夜明け

何度つぶやいても 良くはならない なのに今夜もつぶやいてる まるで苦行のよう 「もういい」 …だから? つめたいきみの声が 幻聴じゃないなら 刺されて死ねたのに どうしてこんなに もてあますばかりで 終わりにならない あいさつよりも つぶやいている 「も…

 まほうのおわり

泣きたいときは泣いてもいいの だけどほんとは笑ってたいの どんな風にもゆれてしまう あたしはひどくちぐはぐで あちこちのスイッチを オンにしたりオフにしたり 笑っては泣き さわいでは眠り さけんでは黙り 払ってはすがる わずらわしさに目を細める あな…

 へびのすみか

やってみるよと笑って いなくなったら あなたはあたしをどう思うかな こんなときも あなたの反応を気にしてる あたしは見栄っぱりかな ほかに何もないだけかな ここは不思議なところだよ 朝と夜が交互にこない つめたいうろこで あつい吐息のへびがいるよ こ…

 生かされてる

死んでしまいたい それはあなたへの裏切りで だからわたしはここにいる しがみつくだけのものは すでにもらった これ以上はほしくない 思う気持ちに 静かにふたをする 何故ならわたしは あなたに失望されたくない それだけでも それだけでも 生かされてる

 骨

さいごまで残ったものは たいていしぶとくて くっついて離れない 不都合なんだと 言いきかせても無駄で がんとして 取り替えられるのを拒む いくつもの骨 はじめから 組み方もまちがえていた ぎしぎしとゆがんでは 隙間に風を通す ちぎれた神経は役に立たな…

 助けて

言いたくない 死んだって そんな場所に立ちたくない 追いつめられて 逃げ場はなくて それでも きっと言えない わたしにわたしは 絶望するから

やさしくされると死にたくなる なにも返せないわたしを あなたがひとことも責めないから わたしはわたしの大丈夫を忘れてゆく あなたの大丈夫はとてもやさしい いらなくはない だけどわたしはわたしの大丈夫がほしかった それを忘れてゆくばかりなら 死んで…

 妄想リアル

月の音がリアル 星の香がリアル 水の息がリアル 石の夢がリアル 君の声がリアル 妄想だけどリアル

 みんな

泣き言を許してくれると言ったひとが うんざりとわたしの話をさえぎった ひどいと思えなかった時点で 恋は終わっていた ああ、そうだね わたしはあなたに泣き言を言ったことがなかった あなたは聞きたかっただけなんだね 「みんなそうだよ」 投げやりにまと…

わたしにそれができなくてもいい それはきみができるから わたしはそれをしなくていい 世界にはきみがちゃんといるから 絶望のフリで 希望だって知ってる

それを知ってるだけでえらそうで それを知ってるだけでほんとにえらいの? だったらわたしあなたと ちがう国に行くわ

 スイッチ

とたんに恐ろしくなって電源を切る。 だけどいくら切ってもなにも閉じない。 ひらくばかり。 カチ、カチ。 押してもだめなら引いてみな。 引いてもだめなら回してみな。 回してもだめなら。 とたんに恐ろしくなって電源を放る。 いつまでもざらざらつづく作…

 てのひら

視界をふさぐのは 魔法じゃなくて手のひら いつだってひとのちから

ガムを食べ続ける深夜 舌先が音を上げたの だめ ゆるさない

泣き言も愚痴も禁止しない だけど泣くことは禁止したい なぐさめられるのも だまられるのも 苦痛なの やめて 迫ってくれるひとの前でだけ泣きたい 全部なしくずしにしてさっぱりして からりと笑ってほしい だって それくらいの涙なんだ こんなの

 約束

笑ってくれていいんだよ 愛してくれたらもっといい だけどそれは言わない約束だね 忘れたふりはできないよ だってそれがぼくときみの たったひとつの約束

 巻き戻し

それはいけない それではいけない くり返していたこのひとは 胸に うつくしいかたちを持っていたのではなく ただ途方に暮れていたんですか 今のわたしのように だとしたらあんまりだ 目を閉じて 息を止めて 思考を巻き戻す 気づかなかったふりをした

ことばを吐くつもりで こころを吐いてた ああ、こんなもの どっちも役に立たない のに

 羊たち

できれば笑っていたいと 思うようになったんだよ、最近 神さまがぼくたちに興味がないことも ぼくたちが神さまに興味がないことも 同じことだって思いはじめてるんだ 楽しいわけじゃないけれど きみが泣くのはつらいから 笑うぼくを見て きみが少しでもつら…

ごめんて言い過ぎたら痛い ありがとうは言い過ぎたらぬるい

 FUCKIN' GOD

とどかない。 これは ゼツボウじゃなくてキボウなんだ 思うことですこしマシになるなら 人間もそうわるくはない 神さま こんなことでひとはすこしマシになれるの こんなことでこころから あなたにありがとうと言えるの あたしを こんなに ばかにつくってくれ…

生きてるような 死んでるような 生きてる日々

 ENDLESS END

雨が降っても嵐でも 晴れても曇っても気に入らない 結局お前はそうなんだ あなたが言う ……違うよ。 むかしはね 120色の色鉛筆がほしかった 淡いびみょうな色をぬりわけて みせたってあなたは12色で 青じゃないかと言うだけなんて 知らなかったから 結局あな…