1998-08-11 月のサカナ 詩 あきれるくらい昔になくしてしまった そう思いこんでいたものが 本当は手を伸ばせば届くところにあるのだと教えてもらった 雨のあがった夕方 せわしい蝉の声 次第にかげになってゆく木立 後ろ髪を引かれながら家路をたどる子供たち うすい水色に藍をとかした夏の空にのぼる 模造紙みたいにうすっぺらな黄色い月のうろこを見た あのサカナの名はあの人に教えてもらった