クライム

「今死んだら悪霊になるよ。」
「ずっと、さいごまで、そう思い続けるのが、理想。」



クライムはずっとそう言っていたから、
彼が本当に悪霊になったと聞いたとき、
わたしもシクスもなにも感じなかった。
ただ良かったなと思っただけだ。



強く思い続ければ、
かなわないことなんてないのだろう。
遠ざかるサイレンの苛立った背中を見ながら私が言ったら、
「きみはロマンでできているねえ。」
甲高い声で言って、シクスは「ひひ」と笑った。