try again

ゆうべ泣きながらみがいたつめが
残酷な朝の光にきらきらつやめいている



はれた目元をつめたいタオルで冷やしながら
人が束になって流れる新宿駅の階段を
金曜一限のドイツ語のテキストの黄色い表紙を
思い出したらくらりとめまいがした



タフで強情な日常



逆らえない大きな力に
ある日うち砕かれたとしても
人々は多分少し泣いて
散らかった過去を整理して
慣れない現実に呪いの言葉を吐いて
それから割合簡単に
新しい毎日に突入していくだろう
誰かを怒鳴りつけたり自分をなじったり
時には優しくしたり
許し合うことも忘れないで



一重になっているまぶたを
マスカラでなんとかごまかして
指輪をはずした薬指のつめに
うすいグリーンのエナメルを塗った



初夏のひざしにきらきらとつやめく
うろこみたいなアイスグリーンをふりかざして
あの人の消えた毎日に私は



消極的にトライする