Breakfast tea

BGMさえうまく選べない
11月の夜中
自転車に乗ればいいんだ
ふと思いつく



かぜを切って
かぜを切って
かぜを切って
ペダルをこいで
うんとこいで
そこに行けばいいんだ
ふと思いつく



(だけど、そこってどこだろう?)



ガラスでできた風船のあった場所
けっしてなかない猫がいた場所
つめのかたちを気にして
ため息をつくこともなかったあの場所に



もどれない
もどれない
もどれない
ことを知っても
もう泣けなかった



てぶくろ越しに
ぎゅっとつかんだ
つめたいハンドル
ゆれるライトが照らした
数メートルの世界
突っ込んでいった
この身体には
あした別の役目



(わたしはもうそこには行かない。)



紅茶だけはうまく選べた
11月の夜中
呪いだけは変わらず
朝がくるのを憎んだ