からっぽなくらやみ

身体がふれてるのに
届かない距離を
永遠て言うんだ



まるで星みたいに
遠くにいるお前



なあ、訊いてもいいか?
リアルってなんだ?



夜の外にある
全てはみんなニセモノなのに
ここにいる
お前も
おれも
リアルじゃないってお前は言う



なにかにひどく
怒ったような横顔を
おれが
さわることができても
お前の頬を包んだおれの手を
お前が
ぎゅっと握りしめても
お前が何度
おれを抱いても
それはリアルじゃないって
お前は言う



だったらきっとリアルってのは
おれには
関係のないものなんだろうな?
永遠と同じに



届かない
星の距離
埋める気なんか
ない
はやく抱けよ



その腕も
目も
声も
肩も
傷も
全部
リアルじゃないなら
お前なんかいらない



(そうだ。)
(おれは、)
(おれだっていらない。)



今夜
うすい皮にまもられた
ひとのかたちをした
この
からっぽなくらやみだけを愛せ