嵐

嵐だって言ったんだ



なにもかもなぎ倒す強い風と
アスファルトを穿つ雨粒と
迷いなく空を割る雷鳴に
魂を奪われて立ってた
気づいたときには手遅れだった
あれは嵐だったって言ったんだ



不可避で
不可抗力で
人を殺すものだった
だから
謝らないと言った
のまれることしか
できなかったと威張った



その髪ぜんぶむしり取ってやろうか?!
と思ったけど
わたしはそれを信じたよ



愛ではなくて
荒れ狂う風と雨と光から生まれた
わたしは嵐の子どもだった