d.d

あなたのことが大好きで
ほんとうに大好きで
とても大切だったから
あの場で「うん」て言えなかった



「うん、わかるよ」
「あなたはなにも悪くない」



そう言って
一緒に泣いてあげたかった
でもできなかった
見えるものを見えるようにしか
言えなかった



それはただただあたしのエゴで
やさしさとはいちばん離れたものだったのに
あなたは「ありがとう」と笑った
あの場であなたを笑わせた自分を
あたしは死ぬほどきらいだと思った



(それはほんのちょっと昔のはなし)



だからって今
あのときあたしが口にしたことを
後悔してるわけじゃないんだ
だってあたしは間違ってなかったから



だけど
ほんとは
あたしはあのとき
あなたをただ抱きしめれば良かった
なにも言わないで
あなたのことがとても好きで
ほんとうに大切に思ってるって
それだけを伝えれば良かった
全身で
そのことだけを



それがいちばん
いちばん大事なことだった



そう思って
あたしはさっき
うまれてはじめて
ことばなんてなんの役にも立たないって
そう思ったんだよ





大好き