midnight

夜中、一瞬だけさびしくなって、たとえばこんなときだれかに(だれかってだれかだよ)電話をかけたりメールを書いたり、そこまでいかなくても声に出して名前を呼んだりできれば、なにか変わるのかなって考えたりする。だけどわたしは夜中訪れる一瞬のさびしさを、その痛みを楽しむことができるし、自分のためだけにいれたお茶(濃いいロイヤルミルクティー)をおいしく飲むことができる。さびしい梅雨寒の夜にいちばん似合う曲をさがして、小さな音で鳴らすこともできる。ほんの一瞬わたしの中にあいた穴を、だれか(だれかってだれだろう)でふさぐ間もなく、その穴に落ちたものの響きで遊ぶことができる。(だってもうずいぶん長いこと、ひとりあそびのプロフェッショナルなの)(これから先もずっとそうなら、別に今死んだってかまわないわ)(なんてうそぶいてみせる)(これもあれもすべてたったひとりの演目)(たのしんでるのかな)(つよがりかな)(言ってもいいかな)「サビシクナイヨ」



こんな夜でも。