midnightblue monster

涙を流すことをやめた
わたしは泣かない子どもです
痛みや悲しみや苦しい朝は
わたしにはなんの関係もないことです



ただときどきからっぽの空を
ミッドナイトブルーがうめつくす夜に
胸の奥に住む魔物が
生クリームみたいにたよりない
あまい言葉をほしがって鳴くのです



そんなときわたしは
少しだけかなしそうな顔をして
上目づかいに
そばにいる人を見上げます



胸の奥には魔物が住んでいます
人の心を食べる魔物です



眠っていてと頼むのは
十二の時にやめてしまいました
それに食べさせる言葉や心を
わたしにくれた人を数えることも
十四の時にやめてしまいました



今夜も透明な空に
ミッドナイトブルーが流し込まれていく
半月がつめたく光る切ない夜です



あなたの話をふせ目がちで聞いている
わたしは泣けない魔物です