残酷の花束
気の狂った人間の目を見たことがあるかい?
それは底の見えないどこまでも続く真っ黒な穴
どんな光も届かない永遠にからっぽな深い暗闇
覚悟してのぞき込んだつもりだったのに思わず悲鳴をあげそうになった
ぎゅっとくちびるをかみしめて強張った頬を無理やり動かして笑みをつくった
だけど本当はその場にしゃがみ込んで大声で泣きたかった
気の狂った人間の目を見たことがあるかい?
それは誰の言葉も届かない
やわらかい身体がつめたく冷えた肉のかたまりになる日まで
永遠に続く果てしない孤独
ああもうあなたは僕の知っている人間という生き物ではない
乱れた呼吸を整えながらそう思った
だから両手に抱えきれないほどの残酷の花束を抱いて
明日の朝あなたの首を絞めよう
気の狂った人間の目を見たことがあるかい?