1996-02-28 寒椿 詩 つばきが散るのを見たかい? つめたい土にぼとりと落ちた 濃いピンクの花たち 雨にぬれて土に埋もれた あのかたまりはもう花じゃないのに みにくい花の残骸でも 君は踏むのをためらうだろう 時が彼らをやわらかな土にのみこませるのを 何もせずにただ待つだろう ほんの少し目を細めて やさしい君のきれいな足は つめたいコンクリートにだけふれる こわれた僕は黙ったまま つばきが散るのを見ている