正解率の限りなく低い
イディオムのテキストを開いてたら
しめきった部屋の中
どこから飛んできたのか
小さな虫がノートの端
ぽつり止まった
消しゴムのカスより小さな虫を
頬杖をついたまま
シャーペンの先で追いかける
とんとんとん
規則的な音とともに
ノートに散らばった小さな点
何回目かの「とん」の後
虫がその点に加わった
それまできっと無表情だった
わたしの顔に
そのときどんな表情が浮かんだのか
わたしは知らない
遠く大きな存在に
わたしもいつか背中を刺され
地面につぶれて
小さな黒い点になる
そのとき残酷な笑みを浮かべる存在を
わたしは知らない