果実
飲み込んだ言葉が
知らぬ間に首の後ろから生えていた
頼りなく伸びた枝に
ついた実をあわててもいだ
やわらかい実はことこと揺れてた
あまい匂いとそれから
笑い声がしたの
だれにも見られないように
聞かれないように無理やり食べた
味なんてわからない
ひとくちで飲んだ
それから口が開けない
前歯の裏で
舌の上で
ずっと子どもが笑ってる
手のひらで口をふさいで
首の後ろから伸びた枝に肥料をやった
言い訳もファッキンも何度も飲んで
もういちど実がついたら
もぎとってあなたの口につっこむの
かみくだいたらきっと悲鳴
頭蓋をやぶって天井を割る
鳴り響く吐瀉物にまみれて大声で笑うわ
口の中で子どもが暴れる
血の味がしても
口は開かない
いつかあなたに
あたらしい実を
もいでやるまで