わかるよ

わかるよ
彼に言ってももう届かない
距離ではなく
時間ではなく
こころが離れてた



だけどわたしがそう言えば
彼はきっと目を見開いて
苦しいような
怒ったような
哀れむような
懐かしいような顔でわたしを見て
なにかひとこと
言わざるをえなくて



わたしの言葉が
もう彼に反発しか与えなくても
そんなふうに
わたしは今でも
彼をまわすもののひとつで



たったひとつ
そんな自負を胸に抱いて
ごめんね
言う代わりに



「わかるよ。」



最後の友だちづらをして
言った