きみを割らない

鏡にうつる自分の顔に
耐えることができないとき
きみは鏡を割るだろう?
なんどもなんども



ぼくはきみに割られたくない
もうこれ以上割られたくない
だからきみから離れてゆくけれど



安心していいよ
きみは大丈夫



きみのこぶしが
なんど鏡を割っても
なんどぼくを割っても
きみのこぶしは永遠に
きみ自身を割らないから



ヒステリックに泣きわめく
きみを置いて
ぼくはもうすぐいなくなるけど



皮肉じゃないよ
家中の鏡が割られても
きみが大丈夫なことに
ぼくは安心してるんだ