SEVEN STAR

「生きるって結局そういうことなんだよね」



パステルめいた色彩のアイスコーヒーが
くもったグラスの中
窓からの日射しをうけてちらちらとゆれてた
わたしはあなたの顔の下半分ばかり見てた
窓の外は初夏の陽気で
気の早い女の子たちが腕や足をむきだしにして歩いてた
胸にたれたスカーフをいじる指先が
いちいち透明に光るのがはずかしくて
わたしの視線はうろうろと落ち着かなかった



あいまいにうなずいたわたしを見て
あなたは少し笑って自分の話をやめてくれた
そして簡単な質問をいくつかわたしにした
わたしは急におしゃべりになって
それまで気にしていたすべての憂鬱を忘れた
わたしたちはいつもそんなふうだった







「生きるってどういうこと?」



聞きそびれていたあなたの答えを
もう一度聞く機会はなかった
そのまま季節は自動的に過ぎて
今はただいつも乱暴に灰皿にこすりつけられていた
あなたのタバコの銘柄だけおぼえている