十一月と十二月

十一月が十二月に言った



私はあなたのことが好きではない
私の愛するあいまいで繊細な
雨や朝焼けや人の心を
無遠慮に彼らを騒々しく攻めたてる
あなたなどに譲り渡したくない



十二月は笑って答えた



私はいつも人をまっすぐに見ない
傾いたあなたの視線を愛する
霜の降りたつめたい指先を
ほんの一瞬包む人々の喧噪を
どうか愛してやって下さい



私はあなたのことが好きではない



十一月は再び言った
十二月は今度も笑って
けれど何も言わなかった