1999-11-02 十一月と十二月 詩 十一月が十二月に言った 私はあなたのことが好きではない 私の愛するあいまいで繊細な 雨や朝焼けや人の心を 無遠慮に彼らを騒々しく攻めたてる あなたなどに譲り渡したくない 十二月は笑って答えた 私はいつも人をまっすぐに見ない 傾いたあなたの視線を愛する 霜の降りたつめたい指先を ほんの一瞬包む人々の喧噪を どうか愛してやって下さい 私はあなたのことが好きではない 十一月は再び言った 十二月は今度も笑って けれど何も言わなかった